道下直樹 監督作品



風景とドキュメンタリー の遺構探訪映画
記 憶 〜雲上のまち小串鉱山〜


 

スタッフインタビュー

 

 

小谷 佳照 [音楽・作曲]

  

音楽を担当する事になったきっかけを教えて下さい。

 そもそも、監督の道下氏とは随分と長い間一緒にやらせていただいています。 好きな風景の話題になった時に道下氏は、あの小串鉱山のように、廃墟のようなちょっと神秘的な歴史を醸し出すような風景が好きだと言ってたんです。なるほどと思って、自分も思い返すとそういうところって結構好きなんですね。

 前テレビで「ある日突然この地球上から人間がいなくなったら、この自然や人工物はどうなるか」ということを、1年、5年・・100年後みたいな感じのCG映像をみたことがあったんです。人間が手を加えていることがどれだけ自然に影響を及ぼしているかということもそうですが、逆に人間がいなくなると、廃墟のようになって、その上にどんどん自然が覆いかぶさってくるような・・・。 その朽ち果てていく姿というのは、今その瞬間の廃墟の姿というよりも、そこから想像する過去の歴史があぶりだされるような、そんなノスタルジックに共感できるんですね。

 話はそれますが、30歳の時に、一度新潟の柏崎から小田原まで9日間かけて歩いたことがあったんです。これを言うと大概の方は「おかしいんじゃないか・・・」とドン引きすることが多いので、あまり言わないようにしているんですが、意外とそういうのにチャレンジしている方って多いと思うんです。 むしろもっとすごい人はいっぱいいますからね。日本横断とか、アメリカ横断とか・・・。 まあそれはいいんですが、その歩いた時に今回のような廃墟は無かったんですが、山や緑に囲まれて自然と向き合いながらひたすら歩けたというのは、なかなか体験できないことなのと同時に、自分の中での音楽の表現の仕方というのが、だんだんと見えてきたんですね。もちろん完全ではないですが。それまではよくわからないまま、頭でっかちで作っていた音楽だったんです。それがそれ以降少しづつ変わることができて、まだまだ途上中ではありますが今の自分の音楽があるのだと思うのです。 自然をテーマにしたものは世の中には沢山ありますが、今回の「記憶」では、自然だけでなく歴史というか、非常に神秘的な姿を音楽で表現できれば面白いなと思います。

音楽を作る上で、心がけていることはなんですか?

 あくまでも映像があっての音楽なので、普段の自分の音楽を制作する時とは明らかに違いますね。 音楽であまり極端に語るという風にはしたくありませんが、単なるBGMで終わるというのは、さらに最もやりたくないことです。 常に思うのは、映像の後ろで鳴ってはいますが、密かに語りかけてくるような音楽を作りたいと考えております。 普段制作する音楽もそうですが、独特の間合いや音の鳴らない瞬間まで一つの音楽と考え、それをこのドキュメンタリーにも活かしたいと考えております。

 監督の道下氏が言うように、この映画にとっても音楽というのは本当に重要なものだと思います。 映像の中の神秘や美しさ、儚さ、といったものを見る人の目だけでなく、耳からも語りかけるような音楽が必要なんだと思います。映像の音楽ではありますが、自分なりの世界観も大事に作りたいと考えています。

本日はありがとうございました。

 こちらこそ、ありがとうございます。

 

2014年7月24日インタビュー

 


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