このピアノ作品集は昔からやりたかった「小さな詩画集のような作品集をつくりたい」という希望を実現させたものでもあります。現代的でもなければ超絶技巧的なものでもないし、ヒーリングでもない。そんな得体の知れない曲達ではありますが、簡単なフレーズや、それを繰り返したりして、小さな絵を描くように作曲しています。「絵」には、大きなサイズのものから小さなもの。あるいは、カラフルな作品や非常に色数の少ないもの、といろいろな作品がありますが、ここでは、小さなキャンバスに鉛筆1本だけ使ってスケッチするような、そんな気軽な気持ちでいろいろなテーマを表現しています。「音」である以上目で見ることはできませんが、できないからこそ自由に、本当に自由に様々な情景、感情をイメージしていただけたらなあ、と思います。 [小谷佳照]
Solo Piano Works vol,1はとても秀逸な作品に仕上がっている。Solo Pianoというと何となく近寄りがたいと云う感覚をお持ちの方も多いかも知れないが、小谷氏いわく「日常のスケッチ」という事もあり、とても自然に聞く事ができる。それでいてとても重厚、かつ優雅なメロディー進行は、まさに小谷音楽と言う感じがする。早速、映像作品にも使用されているとのことであるが、それも納得できる。ぜひこの機会にお聞きいただきたい楽曲達である。特にワルツは凝り固まったイメージを払拭されてしまうあたりは快感ですらあった。小谷氏の最近のテーマは「心」ということを伺った。次から次へとイメージが溢れて来るのだと言う。気負う事無く自然体で作られた楽曲達は試聴者の心に語りかけフトした記憶を呼び覚ますに違いない。これはただのスケッチではなく、心を優しくあぶりだしてくれる感動の詩画集といえると私は感じた。